マンションの大規模修繕は中長期の修繕計画が必須です
マンションのように大きく頑丈な建物は、一戸建て住宅と違って簡単に劣化しないと思いがちですが、残念ながら実際には一戸建てと同じように経年とともに劣化していきます。多くの建物にとって、一番の大敵は「紫外線」で、特に紫外線を多く浴びる建物の南側の屋上の防水塗装や外壁タイルなどは劣化が早く、その劣化した箇所から雨水が浸入して漏水事故などが発生してしまいます。
こういった劣化が目に見えて顕れてくるのが、新築から10年を過ぎた頃で国土交通省がマンションの1回目の大規模修繕の目安を築12年目として推奨しているのはこのためです。
さて、大規模修繕を行うには一般的には工事を始める前にマンション構造を熟知した設計士らによる修繕、補修が必要な箇所の調査やそのプランニングなどが必要です。つまり、修繕工事を実施する建設会社を決める前に、適正に修繕を行うことができるかを第三者的に判断するアドバイザーとしてのコンサルティング会社が必要となります。
殆どの場合、新築当初からの全てを管理してくれている管理会社にコンサルティングを依頼するのが一番安心なのですが、大きな課題となるのはコンサルティングの料金です。大手不動産会社系列の管理会社であれば人員コストなどが高額なので当然、料金が高くなります。複数社から「合い見積もり」を取るのが一般的で、コンサルティング会社の費用の目安は1戸あたり3万円~5万円程度ですから、総戸数100戸のマンションなら300万円~500万円程度の費用が発生することになります。これは当然、修繕工事の費用とは別に掛かってきます。なお、予算節約のためコンサルを挟まない管理組合もあります。
そして、コンサルティング会社のOKが出てからいよいよ大規模修繕工事が始まります。当然、管理組合はこの前に複数の建設会社から「合い見積もり」を取り、施工業者を選定しておく必要があります。一般的に第一回目の大規模修繕工事の時に重要になるのは防水工事で、定期的にきっちりと防水処理を施すことで建物の寿命を延ばすことができ、そのマンションの資産価値を維持するための大切な工事になります。ちなみに、第一回目の修繕工事の費用は1戸あたり100万円程度ですから、総戸数100戸のマンションなら1.000万円掛かり、これは毎月積み立てている修繕積立金からの支出が一般的です。
また、新築10~15年を目安に実施する1回目の大規模修繕の費用は、1戸あたり100万円程度ですが、築後20~25年が目安となる2回目の大規模修繕の費用は、毎日の生活に大きな影響を及ぼす、給水、排水などの配管工事となりますから、1戸あたり負担は120万円程度となります。ですから修繕積立金に不足があるようだと各戸に個人負担が発生する場合もありますから、中長期の修繕計画が必須になります。